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  • 執筆者の写真TAKU OFC

【ボクたちの桑原拓①】71歳北原啓介さんの場合


●北原啓介さん

――桑原選手との出会いは?

 私は61歳からボクシングを始めて10年になります。つい先日まで毎日練習していまして、桑原選手にも日曜日にはミットをもってもらっていました。 桑原選手はプロですがとても礼儀正しくて話しやすく、食事を一緒にしたりしていました。外見もプロボクサーというよりアイドル系の雰囲気で、女性やほかのジムの人からも応援を受ける、人柄の良さがありますね。

彼が2018年5月25日デビューするのですが、そこで大阪の後援会にある20本のノボリの保管場所について相談を受け、私が預かることにしたんです。 それからはノボリを持って応援です。全11試合観戦していますが、コロナでノボリ応援できないのはちょっと残念。横断幕もあるし、また早く会場を盛り上げたいですね。



――桑原選手の魅力は?

 やはり、異名にもなっている「スピードスター」であることです。相手のパンチをほとんど当てさせないスタイル。光の速さ、独特のリズム、そして11戦で6KOしているように、素晴らしいディフェンスからの打ち返しの技術もすごいと思います。

――印象に残る試合は?

 初の敗北となった日本タイトル戦です。 確かに1Rダウンを取られたものの、その後は優勢で運び、判定ならどうかな、と思っていたんです。そこで最終ラウンドでまさかのKO負け。大変心配しました。 彼はご両親とも厚い信頼関係で結ばれていたんですが、こんな事があると、親としての心配もあるだろうし、大阪へ帰って休養している間に引退もあり得るかな、と。

 でも大橋ジムに帰ってきてくれて「復帰します」と言ってくれました。そして先日の、7月12日、2RアッパーによるKO。本当に良かった、すごかった!  試合前にジムで彼の身体を見た時に、筋肉の締りというか身体のつくりというか、前と違っていて一回り強く感じました。 相手の選手もタイのボクシング名門一家出身。心配していたんですが、それを覆す「新しい桑原拓」になっている動きを見せてくれました。本当にうれしいです。



――ジムでの桑原選手はどんな感じですか?

 桑原選手に練習でミットをもってもらうと、思いやりのあるミット、というんですか、本当に楽しいんです。  おかげさまで10年休みなくジムに行っていますが、多様な人間が集まって、友人もできるし本当に楽しい場です。

 マスボクシング大会で優勝もできましたし、他のジムの人とも交流できる。朝ジムに行き、帰りに横浜の街をスケッチする。

 ジムが私の人生の一部になっています。桑原選手のような未来を拓く青年と、こうした関わりを持てる機会も生まれた。感謝しかないです。

――これからの桑原選手への期待は?

 やはり東洋太平洋か日本のタイトルを取り、世界へ向かってほしいですね。私たちの応援体制は整っているので、頑張ってください!


(北原さんはボクシングに通う一方、絵画教室の講師も務め、日展でも入賞されている)


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